時間対効果を最大化する、科学的エビデンスに基づく究極のメソッド
筋肥大(Hypertrophy)を最大化するためには、各筋肉群を週に2回以上トレーニングすることが、週に1回だけ行うよりも優れているという明確なエビデンスがあります。これは、トレーニング後の筋タンパク質合成(MPS)の亢進期間が、一般的に48〜72時間程度で終わるためです。
Brad Schoenfeldらが実施したメタ分析(多数の研究の統合解析)では、筋肥大を目的とする場合、トレーニング頻度は週に2回が最適であり、1回よりも有意に効果が高いと結論付けられています。
「即効性」を求めるあまり、毎セット限界まで追い込む(Failure)必要はありません。疲労が蓄積し、かえって次のトレーニングの質を下げる可能性があります。即効性の鍵は、質の高いトレーニングの総量(Volume)です。
筋肥大のための最適なセット数に関するメタ分析では、ほとんどの個人にとって、週に10セット程度を目標にすることが、優れた結果を生み出すと示されています。
1回のトレーニングで各部位を5セットずつ、週に2回行う(合計10セット)のが、最も効率的な時間の使い方です。
即効性を高めるためには、軽すぎる負荷では時間が無駄になります。高負荷(1RMの65%以上)が筋力向上と筋肥大の両方において最も効率的です。
筋力トレーニングにおいては、主観的なきつさを測る尺度であるRPE(Rating of Perceived Exertion:自覚的運動強度)を用いることが推奨されています。RPE 7〜9(あと1〜3回できる余裕がある)の範囲でトレーニングを行うことで、最大限の動員(Recruitment)を得つつ、過度な疲労を避けることができます。
時間が惜しいからといって休憩時間を短くしすぎると、扱える重量や総反復回数が低下し、結果的にトータルの負荷量(Volume)が減り、効率が低下します。
ベンチプレスやスクワットのような高強度・複合関節運動においては、セット間の休憩時間を3分程度確保した方が、1分間程度の短い休憩よりも、より多くの反復回数を達成でき、長期的には筋力と筋肥大において優位であると示されています。
メイン種目では3分間休憩し、補助種目では時間を節約するためにスーパーセットや短めの休憩時間(60〜90秒)を導入することで、効率を両立できます。
トレーニングの質を高めても、栄養摂取がおろそかでは即効性は得られません。栄養戦略は「最短」の結果に直結します。
筋肥大の「即効性」は、損傷した筋繊維を速やかに修復・成長させる筋タンパク質合成(MPS)にかかっています。
筋肥大のための最適なタンパク質摂取量に関する最新のレビュー(共同ポジション・スタンド)では、筋力トレーニングを行う個人の目標は、体重1kgあたり1.6〜2.2g/日の範囲で摂取することであると強く推奨されています。これは、過去の推奨値より高い値であり、最大の結果を出すための基準です。
トレーニング直後の栄養補給を怠ると、リカバリーと筋肥大のプロセスが遅れます。
トレーニング後2時間以内は、筋肉がアミノ酸や糖質を効率よく取り込む「同化作用が高まる窓」です。この期間に、約20〜40gのタンパク質と、グリコーゲン回復のための炭水化物を摂取することで、トレーニングによる効果を最大化し、次のトレーニングまでの回復を早めることが、数多くの研究で示されています。
トレーニング直後にプロテインドリンクとバナナやマルトデキストリンなどの炭水化物を組み合わせることで、「最短での回復」を達成します。